医療法の一部を改正する法律(平成27年法律第74号)による医療法改正により、事業報告書等の様式が改正され、平成29年4月2日以後に開始する会計年度に係る医療法人の会計については、改正後の様式による作成が必要となります。

改正後の様式や会計基準について、特に以下の準備等が必要となる場合がありますのでご留意下さい。

  1. 医療法人は、役員と特殊の関係のある事業者との取引(事業収益又は事業費用が1000万円以上であり、かつ総事業収益又は総事業費用の10%以上を占める取引等)の状況に関する報告書を作成し、都道府県知事に提出することが義務付けられました。
  2. 一定規模以上の医療法人(事業収益70億円以上または負債50億円以上)、一定規模以上の社会医療法人(事業収益10億円以上または負債20億円以上)、または社会医療法人債を発行する社会医療法人は、医療法人会計基準(厚生労働省令第95号)に従い、貸借対照表等を作成するとともに、公認会計士または監査法人による外部監査が義務付けられました。
  3. 一定規模以上の医療法人(事業収益70億円以上または負債50億円以上)及び全ての社会医療法人について、貸借対照表及び損益計算書の公告の実施が義務付けられました。

また、公認会計士または監査法人の外部監査が必要となる医療法人の場合には、決算スケジュールについて従来よりも日数を要することが予想されますので、日程調整等にご注意下さい。

平成31年3月末決算(平成30年4月1日に開始する会計年度)の場合のスケジュール例
4月~5月上旬 会計年度終了後2ヶ月以内に、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書その他厚生労働省令で定める書類(以下「事業報告書等」という。)を作成
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5月上旬~中旬 公認会計士または監査法人の外部監査(財産目録、貸借対照表、損益計算書)
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5月下旬 監事の監査(事業報告書等)
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6月上旬 理事会で、事業報告書等の承認
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6月中旬~下旬 定時社員総会(定時評議員会)で、貸借対照表及び損益計算書の承認及び事業報告書等(貸借対照表及び損益計算書を除く。)の報告
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6月下旬 会計年度終了後3ヶ月以内に、

  • 都道府県知事に事業報告書等の届出
  • 収益事業を行なっている場合、法人税確定申告(事前に申告期限の延長特例申請が必要)
  • 資産の総額の変更の登記


定時社員総会(定時評議員会)の終結の日後、貸借対照表及び損益計算書の公告を実施