文部科学省は令和4年5月20日、「私立学校法改正法案骨子」を策定しました。

私立学校法改正法案骨子について:文部科学省 (mext.go.jp)

「私立学校法改正法案骨子」では、令和4年3月29日に公表された学校法人制度改革特別委員会の報告書「学校法人制度改革の具体的方策について」等を踏まえ、学校法人における円滑な業務の執行、幅広い関係者の意見の反映、逸脱した業務執行の防止・是正を図るため、学校法人の機関設計の見直し等が予定されています。

基本的な考え方は次の3点です。

  1. 学校法人の機関設計について、「執行と監視・監督の役割の明確化・分離」の考え方から、各機関の権限分配について、法人の意思決定と業務執行の権限や業務執行に対する監督・監視の権限を明確に整理し、私立学校の特性に応じた形で「建設的な協働と相互けん制」を確立する観点から、必要な法的規律を共通に明確化して定める。
  2. 大臣所轄学校法人と知事所轄学校法人の区分その他の規模に応じた区分を設け、寄附行為による自治を一定の範囲で許容し、学校法人の実情に対応する。知事所轄学校法人であっても、広域通信制高等学校を運営する法人その他全国的に展開するなどの大規模な法人について、大臣所轄学校法人と同等の扱いとする。
  3. 現状から変更が生じる事項については、負担の軽減と運営の継続性に鑑み、所要の準備期間を設けるほか、大臣所轄学校法人以外の法人を中心として、必要に応じて経過措置を定める。

基本的な考え方に示されているように、大臣所轄学校法人と知事所轄学校法人では状況が大きく異なるため、ガバナンスの基本構造(理事・理事会と評議員・評議員会の関係等)に関わらない事項、すなわち法人の基礎的変更に係る事項及び重要な寄附行為の変更に関する評議員会の決議(承認)、会計監査人の設置、内部統制システムの整備などについては、対応を分けることが予定されています。

なお、新制度の施行時期については、現時点で未定であり、また、施行に伴う新制度の経過措置(理事と評議員の兼職禁止の移行措置等)については、負担の軽減と運営の継続性を確保する観点から、準備期間との関係を踏まえ、他法人制度の施行時の対応を参考にして検討するとされています。