社会福祉法等の一部を改正する法律の成立に伴い、厚生労働省にて社会保障審議会福祉部会を再開され、制度改革に係る重要事項(特例の対象となる小規模法人の範囲、会計監査人の設置義務対象法人の範囲、控除対象財産の考え方)の審議が行われていますが、その中でも専門的・技術的な検討を要すると考えられる、会計監査関係や控除対象財産関係等の検討項目について、2016年4月26日に別途検討会(社会福祉法人の財務規律の向上に係る検討会)が開催されました。7月まで4回の開催で結論を出す見込みです。
検討会の中で、「監査重点項目の設定」が挙げられており、内部統制の考え方や、過去の社会福祉法人での不適切事例が示されています。
内部統制の欠陥や不備は、理事長等の法人財産の私物化や関係者への利益供与といった不正から、計算書類を正しく作成できないという誤謬の発生までさまざまです。
皆様の法人では、経営組織のガバナンスの確保や正確な財務報告のための内部統制は上手くデザインされ、整備及び運用状況も良好でしょうか。
会計監査は、法人の内部統制が存在することを前提とし、それに依拠する形で実施されます。
よって内部統制が有効に機能していない場合には、監査がスムーズに実施できない、延いては監査意見が表明できない等の自体も生じます。
次の項目は、会計監査人が一般的に評価する内部統制の一部です。見ていただいて不安な事項がある場合には、会計監査のスタートまでに十分な検討を行っていただければと思います。
- 理事会における十分な議論がなされているか
- 理事の適格性は十分に検討なされているか
- 適切な経営理念や倫理規程が浸透しているか
- 人事のローテーションは定期的になされているか
- 職務分掌(職務の分担や牽制)は適切に行われているか
- 購買時や賃借時の手続(比較検討、承認)は適切か
- 貯蔵品、固定資産の流用が予防される仕組み、早期発見できる仕組みがあるか
- 現金の着服や盗難が予防される仕組み、早期発見できる仕組みがあるか
- 預金の不正流用が予防される仕組み、早期発見できる仕組みがあるか
制度改正への対応に向けた、法人の内部統制や財務報告の見直しでご不明やご不安がありましたら、CTS会計事務所までご相談ください。