理事長等が経営する医療法人や商社と継続的に取引している社会福祉法人は多いかと思いますが、平成29年4月1日より施行される社会福祉法(以下、改正社会福祉法)において、利益相反取引についての取り扱いが従来とは変更になるため、4月以降、利益相反取引が発生する法人は、注意が必要です。

従来、社会福祉法人では、理事長個人と利益相反する行為となる事項及び双方代理となる事項が発生した場合は、定款に定めた上で理事会において選任する他の理事が理事長の職務を代理するか、所轄庁が特別代理人を選任し、理事長と取引契約をするという取り扱いになっていました。

改正社会福祉法においては、理事長以外の理事の代表権の行使は認められておらず、また、理事長は理事会において選定されることとなっているため、理事長以外の理事が職務を代理し、及び理事長が代理者を選定する旨の定款の定めは無効となります。

そのため、改正後においては、利益相反取引(自己契約及び双方代理を含む)については、理事会における承認及び報告により可能とされています。(改正社会福祉法第45 条の16 第4 項で準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第84 条、第92条第2項)

なお、当該取引を行なう理事は、理事会で事前の承認を得る際、取引の重要な事実(取引内容、取引相手、金額、時期、場所等)について開示する必要があるともに、取引後も遅滞なく、重要な事実を理事会に報告する必要があります。

平成29年4月以降に利益相反取引の発生が見込まれる法人はご留意下さい。