各社会福祉法人において、そろそろ当年度の見込での社会福祉充実残額の試算が始まっている時期かと思います。社会福祉充実残額が生じる可能性がある法人の場合は、その規模を早めに把握することが大切かと思いますので、以下を参考にしていただければ幸いです。

厚生労働省にて、平成28年10月21日に「第5回社会福祉法人の財務規律の向上に係る検討会」が開催され、「社会福祉充実財産(法律上は社会福祉充実残額)」や「社会福祉充実計画」等の検討が行われました。

その中で注目すべきは、社会福祉充実財産を計算する過程で、控除対象となる資産を判定するための一定の指標が示されたこと、そして、控除対象とするかどうかの判断の元資料となる財産目録の様式の見直し案が示されたことです。

社会福祉充実残額の算定方法の検討にあたっては、現時点で、自己資本比率や建設単価等上昇率、大規模修繕費用割合等の各種係数が仮置きとなっており、今後、さらに検討が進められていきますが、控除対象となる資産の判定の指標が示されたことにより、それぞれの法人において、社会福祉充実財産がどの程度、存在しているかの把握が容易となりました。

特に以下のようなケースは社会福祉充実財産が生じる可能性が高くなるため、各法人において早めの検討が重要となります。

  • 運転資金として利用されていない現金預金が多額にある
  • 有価証券や投資有価証券を保有している
  • 収益事業等で回収サイトの長い事業未収入金や受取手形を計上している
  • 多額の立替金や仮払金等が期末残高に残存している
  • 事業規模と比較し、○○積立資産や退職給付引当資産が多額に計上されている
  • 具体的な事業計画には至っていない遊休の土地、建物等を保有している
  • 役員や職員が移動のために使用する車両を多く保有している
  • 高価な美術品を多く保有している
  • 徴収不能引当金、賞与引当金、退職給付引当金(役員退職慰労引当金)の見積り計上が不足している
  • 仕組債等の有価証券の時価の下落が適切に反映されていない

検討会の資料は下記の厚生労働省のホームページで開示されています。http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000140718.html

当法人では社会福祉充実財産(社会福祉充実残額)の算定や社会福祉充実計画の策定について、無料相談も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。