掲題の研修を平成28年3月17日に名古屋で、3月24日に豊橋で開催いたしました。
研修内容は「1.社会福祉法改正」「2.決算の留意事項」の二部構成で行われました。
ご参加いただいた社会福祉法人の規模や新会計基準への対応状況は様々であり、制度改正の各項目に対する関心の程度も異なりますが、今回の研修の内容は理解しやすく有意義であったとの評価を多くいただきました。
以下、研修の内容を簡単にご紹介します。
1.社会福祉法改正について
(1)改正の概要
- 【経営組織の見直し】評議員会の必置化、一定規模以上の法人の会計監査人の設置義務化
- 【透明性の確保】閲覧対象書類の拡大
- 【適切・公正な支出管理】開示対象となる関連当事者取引の拡大
- 【内部留保・再投下計画の明確化】内部留保のうち福祉サービスに再投下可能な財産額を明確化するため、「社会福祉充実計画」の作成を義務化 など
(2)会計監査人監査とは
- 監査法人又は公認会計士が行う会計監査
- 監事監査、内部監査、行政監査(指導監査)、外部監査との相違点
- 会計監査人選任までの流れ
2.決算の留意事項について
(1)決算で確認したいこと
- 【残高確認】現預金、出資金など、保有する資産残高の精査が必要
- 【現物調査】固定資産、棚卸資産などの管理状況・残高の調査が必要
- 【残高精査】長期保証金、経過勘定(立替金、預り金など)などの残高の精査が必要
- 【賞与引当金】正確な見積りと、実績の見直しが必要
- 【会計区分】事業拠点、拠点区分、サービス区分は整合しているか
- 【内部取引消去】適切に消去されているか、科目名は適切か
(2)作成すべき書類
- 財務諸表等、注記内容、附属明細書に過不足はないかのチェック
平成29年4月1日の改正法施行まで1年を切りました。正確な財務諸表等を作成するため、「社会福祉充実残額」を正確に算定するためには、会計処理・決算や法人の中長期計画・設備投資計画を早期に整備することが必要です。また、会計監査人監査が必要となる法人においては、当期(平成29年3月期)の期末残高が、監査対象となる平成30年3月期の期首残高となるため、当期の正確な会計処理・決算が非常に重要となります。
当会計事務所は、新会計基準の適切な理解・運用と会計監査を含む制度改正の準備に資する情報提供を引き続き行ってまいります。