厚生労働省より、平成30年3月30日に事務連絡「医療法人会計基準について(Q&A)」が発出されました。

医療法人会計基準について(Q&A)

当該Q&Aは、「医療法人会計基準」(平成28年厚生労働省令第95号)及び「医療法人会計基準適用上の留意事項並びに財産目録、純資産変動計算書及び附属明細表の作成方法に関する運用指針」(平成28年医政発0420第5号)の実務上の取り扱いをQ&A形式でまとめたものとなります。

医療法人会計基準を適用する法人では、前々会計年度末の負債総額が200億円未満であることから簡便的な会計処理を適用するケースも多いかと思います。その場合の重要な会計方針等の注記の記載方法が、以下のように例示されていますので、該当する法人はご留意下さい。

① 退職給付引当金の計上基準について
「役職員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務に基づき、当事業年度末おいて発生していると認められる額を計上している。なお、当医療法人は、前々会計年度末日の負債総額が200 億円未満であることから、簡便法による期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法を採用している」

② 所有権移転外ファイナンス・リース取引について
「リース取引開始日が、前々会計年度末日の負債総額が200 億円未満である会計年度の所有権移転外ファイナンス・リース取引については賃貸借処理によっている」

③ 貸倒引当金の計上基準について
「前々会計年度末日の負債総額が200 億円未満であることから、法人税法(昭和40 年法律第34 号)における貸倒引当金の繰入限度相当額を計上している」

その他、簡便法により計上した退職給付引当金の適用時差異について分割償却が可能であることや、資産除去債務に関する会計基準の適用の要否、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用の要否等、損益に重要な影響を与える可能性のある項目についても、当該Q&Aにおいて言及がありますのでご一読いただければと思います。

なお、医療法人会計基準は、平成29年4月2日以後に開始する会計年度に係る会計について適用されますので、3月末決算の場合は、平成30年4月1日に開始する会計年度からの適用となることにご注意下さい。