社会福祉法の改正のうち、平成28年4月1日施行の「地域における公益的な取組」(改正法第24条第2項)の考え方について、厚生労働省は6月1日に課長通知「社会福祉法人の「地域における公益的な取組」ついて」を発出しました。

本通知では「地域における公益的な取組」を行う趣旨、要件、実施の際の留意事項等を明確にしています。

「地域における公益的な取組」の要件は以下①~③のとおりです。

① 社会福祉事業又は公益を行うに当たって提供されるサービスであること
・地域の障害者、高齢者と住民の交流を目的とした祭りやイベントなど地域福祉の向上を目的とした活動は該当し得るが、当該法人の施設・事業の入所者・利用者と住民との交流活動は、法人事業の一環として行われるものであり「地域における公益的な取組」には該当しない。
・環境美化活動や防犯活動は、法人が自主的に取り組むことが出来るものであるが、地域社会の構成員として行う活動であり、「地域における公益的な取組」には該当しない。

② 日常生活又は社会上の支援を必要とする者に対する福祉サービスであること
・要支援・要介護高齢者に対する入退院支援などは該当し得るが、自ら移動することが容易な者に対する移動手段の提供などは法人が自主的に取り組むことが出来るものであり、「地域における公益的な取組」には該当しない。
・子育て家族への交流の場の提供は該当し得るが、地域住民に対するグラウンドや交流スペースの提供は法人が行い得るものであり、「地域における公益的な取組」には該当しない。
・家庭環境により十分な学習機会のない児童に対する学習支援を目的としたものは該当し得るが、一般的な学力向上を主たる目的とした学習支援は法人が自主的に取り組むことが出来るものであり、「地域における公益的な取組」には該当しない。

③ 無料又は低額な金で提供される福祉サービスであること
・自治体の委託事業を受託して費用の補填を受けている場合は該当しないが、法人独自に付加的なサービス提供を行っている場合は該当し得る。
・法人が介護保険サービスに係る利用者負担を軽減するものについては該当する。

また、本通知では平成29年4月施行の「社会福祉充実計画」(改正法第55条の2)を作成する際に検討する「地域公益事業」との関係についても示されており、「地域における公益的な取組」が、「地域公益事業」を含むより広い概念であることが明らかになっています。

「地域における公益的な取組」は、制度や市場原理では満たされないニーズについて率先して対応していくという、従来から社会福祉法人が果たしてきた役割を法律で明確にしたものにすぎません。
本通知に示された具体例を見ていただければ、どの法人でも既に行っている取り組みがいくつもあるかと思います。
地域社会と共に歩み、発展していけるような法人を目指していきましょう!