schedule社会福祉法の一部を改正する法律案(以下、改正法案)が、現在、国会で継続審議となっていますが、今回は、この改正法案が成立し、施行された場合の社旗福祉法人の決算スケジュールに与える影響を解説したいと思います。

まず現行の法令等と比較すると、次の点が大きく変更となり、社会福祉法人の決算実務に与える影響は大きいかと思われます。

  1. 計算書類等(計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書)及び財産目録の作成期限が、会計年度終了後二ヶ月以内から、三ヶ月以内に変更されます。
  2. 会計監査人の設置が義務付けられる一定規模以上の法人(以下、特定社会福祉法人)については、4月から5月にかけて会計監査人による決算監査の期間を決算スケジュールの中で確保する必要が生じます。
  3. 評議員会の役割が、諮問機関から議決機関に変更となることに伴い、現在は、計算書類について理事会の承認前に、評議員会でその内容について意見を聴取していましたが、改正後は、計算書類について理事会で承認を得た後に、定時評議員会でも承認を得る必要があります(会計監査人の監査報告書について適正意見を入手している場合は、理事が定時評議会で報告を行うことで足ります)。
  4. 現在は法令等で期限の特段の規定は設けられていませんが、改正後、理事会や評議員会の招集手続の期間や定時評議員会前の計算書類等の据え置き期間の確保が明確にされ、一定の期間確保が必要となります。

これらを考慮すると、特に今後、会計監査人を設置する必要のある社会福祉法人については、計算書類の作成期限は現在と比べ1ヶ月延びるものの、会計監査人の決算監査の期間確保や、評議員会等の招集手続のための一定期間確保が必要となるため、6月末までに定時評議員会を開催するためには、現在と比べて決算スケジュールに余裕は生じないと考えられます。
よって現在、5月末のギリギリで計算書類等が完成している法人については、決算の早期化が必要となるかもしれませんので注意が必要です。

なお、これらの変更は、2.の特定社会福祉法人の会計監査を除き、平成二十八年四月一日以後に開始する会計年度に係る計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書について適用される予定です。特定社会福祉法人の会計監査人の規定は、平成二十九年四月一日以後最初に招集される定時評議員会の終結の時から適用される予定です。ただし、改正法案の成立時期によっては、施行時期が見直される可能性もあるため今後の動向に注目です。

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